問題解決への4つのステップ
『いかにして問題をとくか』(G. ポリヤ,丸善)という書籍で示されている問題解決への4つのステップを「物理の試験問題を解く」ことを念頭に要約.
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問題を理解する
- 答えるべきものは何か?
- 与えられているものは何か?
- 図・グラフ・表を描けるか?
*専門用語・独特の言い回しを知っている必要がある.
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計画を立てる
- どの分野,どの単元と関係あるか?
- 出題者の意図を読み取れるか?
- 使えそうな法則・定理・公式はあるか?
- 似た問題に出会ったことはあるか?
- 過去問・既に配布されている資料・教科書に類題はあるか?
- 解こうとしているものが過去問であれば,演習プリントに類題はないか?
- 適切なキーワードが思いつくか?ネット検索で類題は見つかるか?
- 小問に分割する事はできるか?(Divide and Conquer)
途中の解を仮置きする事で,与えられているものから未知のものまでつなぐことはできるか?どこが既習知識で,どこが新しい知識か?
*法則・公式を知っている必要がある.
*たくさんの問題に触れた経験が必要である.
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計画を実行する
- 見直しの為のメモを残せ.
- できるだけ文字のまま式操作を行え.
- 手計算の場合には,小数と分数の置き換え・約分・分母の有理化・共通因数でくくるなど整理をしたうえで計算を行え.
- 関数電卓の機能を活用せよ.
- 計画の各段階の答えの妥当性を確認せよ.
*数値計算に熟達している必要がある.
*文字式計算に熟達している必要がある.
*有効桁数・科学表記に熟達している必要がある.
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答えを吟味する
- その解は妥当か?
- その解を見たことはあるか?
- 分かりやすい数値を代入したとき,当然の解が得られるか?
- 例「自転車の速さは?」に対して得られる数値は,徒歩($80\,\mathrm{m/min} = 4.8\,\mathrm{km/h}$)から一般国道を走っている自動車($60\,\mathrm{km/h}$)程度であることは実際の動きを想像することができればおおよそ分かる.
さて,実際の計算結果が $18\,\mathrm{km/h}$ であった場合,これは妥当か?$108\,\mathrm{km/h}$ ならばどうだろうか?
- 例「縦横高さが $x, y, z$ の直方体の向かい合った頂点間の距離 $L$ を式で表せ」に対して得られる解は,立体図を想像できれば以下の条件を満足していることがわかる.
(1)$L$ は正の値しかとらない.
(2)$x,y,z$ を入れ替えても $L$ は変わらない.
(3)$x, y, z$ すべてを $0$ に近づけたら $L$ は $0$ に近づく.
(4)$x,y,z$ それぞれの値を大きくすれば $L$ も大きくなる.
(5)$x, y, z$ の単位を$[\mathrm{m}]$とすれば,計算結果の単位は $[\mathrm{m}]$ でなければならない.
さて,実際に得られた解 $L = \sqrt{x^2 + y^2 + z^2}$ はこれを満足しているだろうか?
- 例「角度 $\theta$ で打ち出した物体の水平到達距離 $X$ は?」に対して得られる解は,実際の動きを想像することで以下の条件を満足することがわかる.
(1)$\theta = 0^\circ$ であれば,発射時点で地面と擦れるので,$X = 0$.
(2)$\theta = 90^\circ$ であれば,真上に上がって元の位置に戻ってくるので,$X = 0$.
(3)$\theta = 45^\circ$ で最大値となることは,知識として知っている.
さて,実際に得られた解 $X = \dfrac{v_0^2 \,\sin 2\theta}{\ g\ }$ はこれを満足しているだろうか?
*妥当性を比較するために様々な経験が必要である.
*実際の運動,パラメータを変えたときのグラフの変化など,想像する能力が必要である.